ロコモティブシンドロームについて

骨・関節・軟骨・筋肉といった運動器に障害が起こり、「立つ」、「歩く」といった機能が低下している状態を「ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome、略称:ロコモ、和名:運動器症候群)」と言います。進行すると日常生活にも支障が生じ、介護が必要になるリスクが高くなってしまいます。2007年、日本整形外科学会は人類が未だ経験したことの無い超高齢社会・日本の将来を見据え、このロコモという概念を提唱しました。いつまでも自分の足で歩き続けていくために、運動器を長持ちさせ、ロコモを予防し、健康寿命を延ばしていくことが必要です。

要支援・要介護状態は健康寿命の大敵!原因の第1位は「運動器の障害」

「健康寿命」とは、「健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間」のことです。現在、平均寿命と健康寿命の間には、男性は約9年、女性は約13年の差があります。これは支援や介護を必要とする期間が平均で9年~12年もあるということです。自立度の低下や寝たきり、つまり要支援・要介護状態になる原因の第1位は「運動器の障害」だということをご存じでしょうか。要介護や寝たきりは、本人だけでなく家族など周囲の人にとっても問題になります。ご自分のみならずあなたの大切な家族や友人らのためにも、運動器の健康を維持しましょう。

ロコモをチェックしてみましょう。

以下の項目で1つでも当てはまれば運動器が衰えているサインです。

□ 片脚立ちで靴下がはけない

□ 家の中でつまずいたりすべったりする

□ 階段を上がるのに手すりが必要である

□ 家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)

□ 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)

□ 15分くらい続けて歩くことができない

□ 横断歩道を青信号で渡りきれない

まだ若いから関係ない?若いうちからの運動習慣が重要です。

骨量や筋肉量のピークは20~30代です。骨や筋肉は、適度な運動や生活活動で刺激を与え、適切な栄養を摂ることで強く丈夫に維持されます。弱った骨や筋肉では、40代・50代で身体の衰えを感じやすくなり、60代以降、思うように動けない体になってしまう可能性があります。骨、筋肉と同様に、軟骨や椎間板にも適正な運動負荷が必要です。ただし、過度なスポーツや過体重によって「負担をかけられすぎる」と、軟骨や椎間板は逆に傷んでしまうこともあります。また、やせすぎると筋肉や骨は弱くなってしまいます。肥満もやせすぎも良くありません。

ロコモを防ぐ運動「ロコトレ」

ロコモーショントレーニングでいつまでも元気な足腰を維持しましょう。まずはこの2つを毎日続けるのが目標です。

バランス能力をつける「片足立ち」

下肢筋力をつける「スクワット」

当院では歩行訓練や転倒予防指導、筋力トレーニング指導などを行っております。ロコモが心配な方、ロコモが疑われる方など、お気軽にご相談ください。